シリーズ:環境インタビュー

協会役員をはじめ会員企業の皆様に、UNEPに対する想いや環境への取り組みなどについてインタビューを行いました。


  • シリーズ 1 日本UNEP協会 鈴木基之代表理事
  • シリーズ 2 株式会社T&Dホールディングス
  • シリーズ 3 日本UNEP協会 平石尹彦理事
  • シリーズ 4 トヨタ自動車株式会社
  • シリーズ 5 カルネコ株式会社
  • シリーズ 6 株式会社マッキャン・ワールドグループホールディングス
  • シリーズ 7 富士フイルム株式会社
  • シリーズ 8 株式会社エッチアールディ
  • シリーズ 9 日東電工株式会社

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    第7弾:
    日本UNEP協会正会員の富士フイルム株式会社に、環境への取り組みについてお話をうかがいました。


    富士フイルム株式会社

     創業当初から流れる環境への想い


      

    右から、富士フイルム株式会社 中井泰史環境・品質マネジメント部長、北本政嗣業務統括マネージャー、富士フイルムホールディングス 菱田豊彦CSRGシニアスタッフ


    富士フイルム株式会社(Fujifilm Corporation)は、日本の精密化学メーカー。カメラ、デジタルカメラ、エックス線写真、映画用フィルムから印画紙(プリント)、現像装置などに至る写真システムの一式、複写機などのOA機器などのほか、化粧品や健康食品も製造販売している。



    フィルムから医療、その先へ
    ― 創業当初の写真フィルム事業から化粧品、医療と、今では11事業にまで発展していますね。フィルムから化粧品や医療までの関わりについて、教えてください。

    写真のフィルムだけでも撮影、プリント技術というふうに事業がだいぶ変わっていますが、写真の中に使われている技術の中のものをほぐして、その技術をどのように発展できるのかということを検討した結果、今に至っています。

    実は写真のフィルムには、いろいろな技術が入っています。その中にはゼラチンがよく使われていて、コラーゲンと同じ成分が含まれ、それが化粧品部門へと繋がっています。他にも、紫外線を防いで光の影響を下げることに関してなど、写真の技術がたくさん入っています。

    医療の場合でも、我々のPR不足ということもあるとは思いますが、レントゲンフィルムは創業当初から始めていたんです。いわゆる診断に関する医療分野というのは、内視鏡はまだ新しいのですが、レントゲンに関して言うと コンピューテッドラジオグラフィ ということで、現在はDR画像診断が当たり前になっていますけど、そういう機器を我々が日本で初めて出して、ずっと展開してきています。したがって、医療ルート、医療分野というのは決して医薬の分野ではなくて、我々としてもかなり歴史があるのです。そういうところから派生して、医療分野とさらに深く関わっていくと、化粧品というところにも繋がるというわけです。

    最近希少材料で使っているフィルムも、フィルムというのは上に塗っていくんですが、いちばんベースの部分基材、つまり基礎材料に使われたり、一つ一つが高い技術を持っているために、いろいろなところで応用していただいて、それが需要に繋がっているという歴史があります。その技術のブレイクダウンというか、もともとフィルムがベースで、そこでは均一性(同じ厚さで広い面積)というのが要求されるので、製造するときにそういう技術を持っていた。

    その技術を使って、記録メディアということで、最近ではコンピュータのバックアップであったり、昔はフロッピーをつくったり、もっと古くはカセットテープだったりと、フィルムは応用範囲が広いんですね。写真フィルムを造るには様々な技術が必要で、それを一つの製品に入れていた。それをほぐしてやると、いろいろな応用が見えてきたということになりますね。フィルム一つでも、それだけあります。


    ― お話を聞くと、企業イメージがガラッと変わりますね。技術力が詰まっているフィルムを、いろいろなジャンルに生かせるという良さがあるんですね。

    はい。レンズの技術も持っていましたし、デジカメの組み立ての技術もあります。一時期、世界でフィルムを作っているのは4社しかありませんでした。写真フィルムがなくなっていく時代でしたから。日々生産できる技術が限られていたんです。一般の方々は、富士フイルムがやっていることがいろいろな分野に繋がっているという事実を知らない。だからこそ、これは面白いんです。

    いろいろな素材を持っていること。技術を持っていること。そしてもちろん設備があること。そこに加えて人がいることで、全部で11事業あるんですけれども、いろいろな分野で貢献できるだろうということで、自分たちの技術を社会貢献に使っていこうと。それも単なる社会貢献ではなくて、ビジネスと結びつけていこうという、2階建てにしているんです。


    継続して社会に貢献
    ― CSR企業ランキングが2年連続で1位という理由は、どんなことだと思われますか?

    技術力という話もありますが、やはり継続的に社会に貢献していくには富士フイルムらしさが発揮できる分野でなければなりません。

    CSR企業ランキング1位というのは、人材育成と環境と社会性が100点満点で、全部で600点満点のうち半分を占める300点分が、財務なんですね。環境だけでいうと、我々より進展のある会社はあるんですよ。しかし、財務状況もあわせた視点でバランスを見るという評価方法なので、状態のいい時だけ頑張っているというのでは、評価されません。

    たとえば、フィルムを作るには綺麗な水をたくさん使って、排水も出すので、環境には創業当初から非常に力を入れていました。化学工場は一般的に下流に建てることが多いのですが、それは万が一、何かあったときのためにも海の近場でないといけませんでした。グループ全従業員を対象にeラーニングを活用して環境教育を実施していますので、そういうことも、皆が当たり前に理解しています。

    また、事業プロセスの中で省エネの努力を継続発表しています。もう一つ事業を通じてとなりますと、製品を使っていただいたお客様のところで二酸化炭素排出に繋がることを考えて、製品を作っています。

    環境経営というのは環境保全だけではなくて、それを経営で生かしていくということですね。ですから事業も発展する、そしてその中に環境がビルドインされているという姿です。これを言っているのは当社だけではないですけれども、本気でやらないといけないという、強い意思表示と捉えていただければ嬉しいです。環境に関する法規制というリスクの中で、常に環境をビルトインして、なおかつ利益を出していきましょうということですね。


    ― CSRはどのような経緯で始まったのでしょうか?

    現在、行っている事業を見直したとき、企業として存続するためには社会のいろいろな課題を解決して貢献していくというのがキーだろうと考えて、整理して方向性を定めました。

    もともと我々が製造する写真フィルムは、非常にたくさんの綺麗な水と空気が得られないと作れません。この点ともう一つ、使う前にテストができない製品ですから、完全に信頼して買っていただかないといけない、そういうところでまず、お客様、そして社会の信頼重視ということで活動してきたということが、原点になります。

    その次のステップとして、社会に製品を出した後に、それがどのようになっているのか伝えようと考えました。環境へ配慮しながら製品をデザインし、目標を立て、その製品を出す前に審議して、これなら大丈夫ということで出しています。さらに、我々だけでなく社会の重要な課題を確定し、その分野で持続可能な計画を目指しています。

    CSR企業ランキングというには、積み上げてきた結果だというふうに我々は捉えています。先ほど言いましたように、一般の方々には事業の繋がりが見えない部分があって、氷山の一角というのは表現がうまくないかもしれないですが、下の部分では繋がっていても見えるのは上の部分だけなので、トゲトゲに見えるというのはあるでしょうね。


    高い「環境品質」を目指すために

    富士フイルムと関係会社では、「情報開示/提供」を「 富士フイルムグループグリーン・ポリシー 」の重点実施事項に設定しています。製品・サービス・企業活動の全分野についての説明責任、サステナビリティレポートやウェブサイトなどによる積極的な情報開示、MSDS・安全ラベルなどによる製品情報の提供が主な取り組みです。そして、ステークホルダーとのコミュニケーションを通じて意見を企業活動に活かしています。

    富士フイルム 環境ガバナンス推進体制



    国内では、富士フイルムと関係会社で2003年度にゼロエミッションを達成してからも、引き続き廃棄物管理レベルの向上に努めています。ゼロエミッションとは、事業活動で発生する廃棄物を再資源化し、廃棄物の単純償却、単純埋立をゼロにすることとしています。今後の課題は、富士フイルムの海外生産拠点である関係会社、新しく富士フイルムホールディングスグループに加わった会社でのゼロミッション達成で、特に廃棄物発生量の多いサイトを中心に改善を進めています。

    一例として、富士フイルム香港(中国)では、富士フイルム富士宮工場で製造される写真用印画紙やインクジェットプリンター用紙の損紙のリサイクルプロジェクトを2005年に立ち上げました。これらの用紙は、薬品などが塗布されているため、特別なリサイクル処理を施す必要があり、中国で処理工場を探し、リサイクル技術の確立を行いました。写真用印画紙やインクジェットプリンター用紙を原紙、プラスチックフィルム、製紙用パルプ、銀などに分離し、実用レベルの素材に再生させます。2006年6月から発生した損紙を日本から厦門(アモイ)のリサイクル工場へ送り、2008年から本格的に稼働させました。年間約300トンの損紙リサイクルを見込んでいます。

    写真用印画紙のリサイクルプロジェクト(中国)



    その他の海外生産拠点における廃棄物の削減/ゼロエミッションの取り組み例:
    ・欧州連合指令に従ったリサイクルの推進(イギリス)
    ・ゼロエミッションの達成と維持(ベルギー)
    ・全ラボでISO14001を取得(フランス)
    ・廃棄物削減プロジェクトを実施(ベルギー)



    UNEPと日本UNEP協会に期待すること

    「Our Planet」の記事は非常に素晴らしいなと思っています。世界のどこでどんな課題があるのかがきちんと把握できますし、現実が見えます。今でもイノベーションの記事が紹介されていると思いますが、企業の立場としては、いろいろな技術や製品が世の中にどう役立っているのか、それによってどう変わっていくのか、フィードバックがいただけたらと思っています。

    UNEPのような世界的な組織でないと、あれだけの多くの環境の最新情報を網羅できないと思います。そういった活動を具体的に、こういう環境の課題があり、こういうところはこういった技術や考え方で良くなった、とレポートしていただきたいですね。

    ― そういう情報を発信するのも、日本UNEP協会の大事な役割の一つだと思っています。本日は有難うございました。

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